研究課題
本研究の目的は、強度の空間的ばらつきを有するセメント改良地盤の破壊挙動を評価し、その設計基準強度を設定する方法を確立することである。3年間の研究期間において、ばらつきを有する供試体を用いた室内試験を実施し空間的にばらつきが配置されたセメント改良体の基本的な力学挙動を明らかにし、FEM解析とモンテカルロ法を組合せた手法を用いて実大のセメント改良柱の圧縮及び引張挙動を明らかにした。平成22年度と平成23年度に室内試験を実施し、小型供試体でのばらつきを有するセメント改良体の圧縮及び引張挙動を明らかにするとともに、FEM解析手法の検証を行った。本年度(平成24年度)は、ばらつきを有するセメント改良体の挙動を表現できることが検証されたFEM解析手法を用いて、モンテカルロシミュレーションによりばらつきを有する実大セメント改良柱の力学挙動を明らかにし、設計での強度設定に関する手法に関して考察した。FEM解析に先立ち、深層混合処理工法で構築されたセメント改良地盤から採取されたコア供試体の強度データより、セメント改良地盤の空間的ばらつきを表す指標である自己相関距離の範囲を明らかにした。得られた自己相関距離を参考に空間的自己相関特性を有する改良柱モデルを作成しFEM解析を実施した。FEM解析結果より、自己相関距離が実大改良柱の圧縮及び引張強度に大きな影響を与えることが明らかとなった。実大改良柱の強度のばらつきは自己相関距離の増加にともない増加するため、破壊確率を考慮して設計を行う場合、要求される破壊確率に対する全体強度は自己相関距離の増加にともない小さくなった。破壊確率1%を満たす全体強度は、自己相関距離1mの条件ではコア強度の0.4倍程度であった。本研究で得られた破壊確率を満たす全体強度と自己相関距離の関係は、セメント改良地盤の設計及び品質管理において有益な情報になると考えられる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Geotechnical and Geoenvironmental Engineering
巻: 139 ページ: 印刷中
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