研究課題/領域番号 |
22560507
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研究機関 | 飛島建設株式会社技術研究所 |
研究代表者 |
小林 薫 飛島建設株式会社技術研究所, 副所長 (80443638)
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キーワード | 塩水 / 淡水 / 砂浜 / 不飽和地盤 / 水分特性曲線 / 塩分移動 / 水分移動 / 地下水 |
研究概要 |
本研究では、塩水を用いた内径10cmの鉛直一次元円筒装置を用いた土柱法(地盤工学会編、2009)による水分特性曲線(以下、SWCCと記す)を求め、保水性特性を把握した上で不飽和地盤内の毛管力に伴う塩と水の侵入・残留と流出機構について検討した。具体的に、内径20cmの小型降雨装置を備えた鉛直一次元円筒装置を用いて、砂供試体に塩水位の変動並びに上部から散水・浸透流を与え、体積含水率と電気伝導度(EC)の経時変化を測定した。加えて、鉛直一次元円筒装置の下端部から排出される全流出水を連続採水した上で、塩水に含まれる塩分含有量の経時変化についても測定し、塩と水の同時移動の挙動について実験的に明らかにした。主な結果は、以下の通りである。 1)塩水と淡水を用いたSWCCを比較した結果、塩水が砂材のSWCCに及ぼす影響はほとんど無いことを実験的に確認した。 2)塩水を用いた砂材の排水過程(D)および吸水過程(W)におけるSWCCは、土のSWCCを記述するために広く用いられているvan Genuchten式で概ね良好にモデル化できる。 3)散水・浸透流による不飽和地盤内の塩と水の同時降下移動速度は、ほぼ一定であった。一方、上昇時の塩と水の同時移動速度は、1回目の塩水位上昇時とそれ以降の塩水位上昇時では大きく異なる挙動を示した。また、塩と水の同時移動時の上昇速度は、毛管上昇高(本実験における硅砂6号では40cm程度)に漸近する程、塩と水の同時移動速度は低下した。 4)塩害を受けた地盤を除塩するのに必要な散水・浸透量は、単位面積あたりの塩分量と地盤の保水性によって大きく変わる可能性がある。効率の良い除塩計画を立案するには、地盤材料の保水性も把握した上で計画・立案することが重要であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果の公表については、国際会議を含めて計画通り進展している。最終年度は、研究成果を取りまとめて学術誌(査読論文)へ投稿する計画である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については、最終年度として2次元土槽実験による海底湧出水の位置を後背地の水理ポテンシャルが変化することで、湧出水の位置変化にどの様な影響を及ぼすのかについて実験的に確認する。実験土槽については既に製作済みであり、現状では本研究課題を遂行する上で特に大きな問題はない。
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