研究課題
都市とその周辺の地下汚染対策、水資源の利用と保全、工事による流動阻害対策、地下水管理などに適用するため、複数地点の井戸水中の化学成分(化学トレーサー)分析値から、都市域の地下水の複数の流動経路を分離し、各経路の分布と流量の割合、移動・滞留時間や流動履歴を高精度で決定する方法を提案する。また、その方法を野外に適用し、妥当性を検証する。そのため、H22年度は、地下水中の年代トレーサーとなるSF_6の濃度を測定するガスクロマトグラフ(GC)を用いた測定システムのハードを完成させた。また、CFCs年代トレーサーについてはその方法を野外に適用し、方法の妥当性を検証した。作製したSF6濃度測定システムは、1)サンプル水のガラス容器(1Lバブラー)への取り込みライン、2)取り込んだサンプル水をバブラーの中で超純度窒素ガス(UPN_2)によってバブリング(60~90分)し、溶存ガスを追い出す、3)追い出したガスをキャリアガス(UPN_2)により、SF_6トラップ1(大型)(ポラパックQ充填)に送り、4)-75℃に冷却したSF_6トラップ1(大型)でSF_6のみを捕集(60~90分、バブリングと同時)、その後、5)SF_6トラップ1(大型)を95℃にしてSF_6を開放し、6)-75℃に冷却したSF_6トラップ2(小型:ポラパックQ充填)でSF_6のみを捕集(10分)、7)SF_6トラップ2(小型)を95℃にしてSF_6を開放し、6)前処理および主カラム、放射線源電子捕獲型検出器(ECD)に順に送って、クロマトパックでクロマトグラフ(時間-電位チャート)を記録する。標準ガスについては、SF_6トラップ1を経由せずにSF_6トラップ2へ誘導し、以降の処理によりクロマトグラフを得る。作製したSF_6濃度測定システムは、今後、野外の多点で取水した地下水サンプル水の年代測定を通じて改良していく。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Applied Geochemistry
巻: 26(4) ページ: 587-599