研究概要 |
自由に照射方向や設置水深を変化させることができる音響ドップラー流向流速分布計(以下ADCP)の固定装置の製作は完了したが、強度面から大重量となったこと、及び、河岸周辺の河床凹凸の著しいことが判明したため、河岸からの懸架による測定は断念し、この装置を観測浮体に組み込みロープ固定で長時間継続観測を実施した。この浮体等の準備に時間を要したので同時の高精度点計測はできなかったが、この測定結果と選定地点から撮影した同時ビデオ画像との比較は行い、大規模渦の基本的な水理特性は把握した。また,測定原理上、時間、空間とも高い分解能は期待できないADCPの時空間分解能については、主に、その4本の個別ビームから得られるコリレーション値の計測結果についてパワースペクトルを検討し、ADCPの通常測定では捉えられないような急激な河床変化に伴う流れ変動の周波数スペクトル特性は把握可能であることを明らかにした。 なお、個別ビームのドップラーシフト信号については、メーカー代理店に問い合わせても現段階では十分な情報が得られていないため、より定量的な解明は次年度以降の課題となった。 しかしながら、流速と同様に、通常測定では平滑化がなされるため解像度が極端に低下するADCPの河床計測については、個別ビームの測定値に着目したことで、移動観測結果から、大規模渦の発生している河道地点には、水表面からは推定できないような大岩による大規模の河床凹凸のあることを見出すなど、より高度の河床空間変化も測定できることを示した。同時に、ADCPの移動量が小さい場合、ボトムトラッキング機能による補正に限界のあることも明らかにした。 石礫床のマイクロバビタット機能に関する計測については、詳細な河床形状測定をより広い範囲で可能 とするよう2次元アクチュエータを組み込んだ測定装置を改造して実験河川に適用した。
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