研究概要 |
本研究の目的は小規模貯留施設を用いて洪水時における都市の急激な流出を低減させる方法を開発する.同時に,震災などの災害時においては貯留した水を緊急生活用水として用いる場合の効率的運用方法を探ることである.特に,洪水時の都市流出低減の研究として,レーダーから得られる降水量誤差を考慮した降水情報と分布型流出モデルを用いた流出計算を行う水文シミュレータを開発し,小規模貯留施設からの予備放流とその後の貯留が流出にあたえる影響を検討することを平成22年度の目標としていた. 平成22年度にはレーダーから得られる降水量を元にした降雨予測を元にして分布型流出モデルを開発し,かつ氾濫モデルも介した氾濫予測モデルを開発し,さらに降雨予測の初期値誤差の伝搬を移流モデルの特異ベクトルを用いて考慮して,アンサンブル氾濫予測を行うことに成功した.また,氾濫結果がもたらす被害とそれが生起する確率を考慮した氾濫リスクリアルタイムマップの作成に成功した. さらに,レーダーを用いた降雨量推定精度を向上させるために修正ガンマ分布を用いた降水粒子粒径をレーダーだけから算出する手法を開発し,また,山梨大学レーダーのデータを用いてレーダーデータからの降雨強度の推定精度を検証した.
|