都市型集中豪雨は社会的な問題となっている.ゲリラ豪雨は短時間に局所的に発生するため,予測が難しい.ゲリラ豪雨の発生には,都市の温暖化,地球温暖化,海風の流動特性の変化,さらに,海風の流動特性の変化に起因する大気中の汚染物質の輸送特性の変化が影響していると考えられる.しかし,これらがどの程度影響しているかは明らかにはなっておらず,その発生機構の詳細は解明されていないため,これを明らかにすることが急務である. ゲリラ豪雨の実態として,発生状況,降雨分布等を明らかにするため,2011年度より福岡都市圏に14個の雨量計を設置した.設置間隔は約20km2にひとつの割合となっている.2012年度も引き続き観測を行い,さらに新しいデータを取得した.このような高密度での雨量計の設置はこれまでにはなく,大変貴重なデータを得ることができた. 2011年夏季および2012年夏季における観測より,次のことが明らかとなった.福岡都市圏においては,ゲリラ豪雨は午後1~2時の時間帯,および午後5時~6時の時間帯に多く発生する.一地点での降雨持続時間はおよそ20~60分であり,10分間雨量は,平均で10mm程度,最大で40mmほどに達した.降雨の発生地点は,福岡平野南部であり,降雨帯はそこから北北東方向に進むパターンと,北西方向に進むパターンの2種に大別できた.都市型集中豪雨の発生しやすい大気の状態を調べるために,発生した日と発生していない日における気温と湿度を比較した.地表面温度が平均で2℃高いと発生確率は高くなった.また,上空の湿度が平均で30%高いと発生確率は高くなった.また,福岡管区気象台および博多と太宰府に設置されているAMeDASにて観測されている風向風速データより,福岡平野に流入する海風との関係を調べた結果では,海風と集中豪雨のあいだには明らかな関係は見出されなかった.
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