研究概要 |
海洋観測塔でのフィールド観測を実施し,大気一海洋間CO2交換速度に及ぼす波浪特性の効果について検討を行った.海水中の溶存CO2分圧の測定にはLEDによる光学的原理に基づく液一液平衡式海洋CO2センサーを用いた.観測で得られたCO2フラックスおよび大気一海洋間CO3分圧差4ρCO2からCO2交換速度を算定した.CO2交換速度は風速6~7m/s付近から急激に増大し,波齢が大きいほど相対的に大きくなる挙動を示すことを確認した.また,従来の経験式と比較すると,本観測で得られた交換速度はかなり大きな値を示した.さらに,Woor(2005)and Soloviev et al.(2007)の知見に基づいて,砕波による乱流機構を取り込んだCO2交換速度のハイブリッドモデルに関する研究を進め,波齢によって風速依存性が変化する交換速度モデルの検討を行った.CO2交換速度に対する波浪場の影響について種々の知見が得られ,特に純粋な風波波浪場に対しては交換速度を定量化するための基本フレームを構築することができた。
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