研究概要 |
工学の分野では粒子群と流体との相互作用によってもたらされる複雑な現象が数多く存在し,未解明な点が多く残されている.国土保全や水際の景観に重要な役割を担う砂移動現象や,深掘跡の埋戻しやゴミ処分地造成などを目的とした土砂・捨て石投棄に伴って発生する流動およびこれによる物質の拡散現象などがその一例として挙げられる.これらの現象は,粒子の周辺に形成される微小な渦構造が個々の粒子の複雑な運動を誘起し,さらには粒子群としての挙動を決定することによって,固液混相流全体の運動を形成している.しかし,現段階では,個々の粒子と微小スケールの渦構造との相互作用を計測した例はほとんどないのが実情で,それ故,固相と液相あるいは気相の運動を解明し,それらの相互作用を定量的に評価し,予測するには至っていない. 本研究では,これまで計測が困難であった固体粒子周りの流体運動の詳細,特に,3次元流動の詳細を計測することができる手法として可視化画像計測の手法を用いた.流跡線画像を撮影することによって流速場を計測するという可視化計測の初期段階で用いられていた手法と,固体粒子と流体の屈折率を一致させることによって固体背後の流体運動を可視化するという屈折率整合法を用いることによって,多孔質体内の乱流運動を3次元で計測できるように発展させた.また,2次元計測によって得られたデータに基づいて,乱流モデリングを試みた.
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