研究概要 |
管水路内に設置した多孔質体を通過する流れの可視化実験を行い,得られた画像から流速場を計測した.計測された流速データに基づいて推定されたReynolds応力に対して,Reynolds応力とせん断速度の線形関係を仮定する渦粘性近似の妥当性を検証し,広く用いられている本手法は必ずしも適切なレイノルズ応力の推定手法ではないことを確認した.計測された流速デーに基づいて,せん断速度のみではなく回転速度や伸縮速度を考慮した非線形乱流モデル(Liu et al.(1994), Borue & Orzag(1998))の適用性について検討した.その結果,一方向流場および振動流場に設置された多孔質体を通過する流れに対して,いずれも高い相関係数(r=0.55~0.60)で実験結果を説明することができることが明らかになった.このとき,空間平均操作を施す長さスケールに依存することなく,非線形乱流モデル中の経験定数は0.12と一定値であることも明らかにした.このことは,本研究で適用した非線形乱流モデルは,計測精度あるいは計算格子サイズに対する依存度の小さいモデルであることを意味しており,その有用性が示されたと言える.
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