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2011 年度 実績報告書

陸水域における砂質底泥への乱れの浸透と水・底泥間での物質移動過程に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22560522
研究機関大分工業高等専門学校

研究代表者

東野 誠  大分工業高等専門学校, 都市・環境工学科, 准教授 (90311117)

キーワード底泥 / 透水係数 / 物質移動 / 溶存酸素 / シミュレーション / 細砂 / 砂礫 / 水質
研究概要

本研究では,河川,湖沼,貯水池等の陸水域での水質と生態系変化を高精度に予測し,かつ環境アセスメントに適用し得るコンピュータシミュレーションモデルの開発を最終目標として,平成23年度は,砂や砂礫で構成された透水性底泥,つまり砂質底泥に対する底泥直上の乱れの内部への浸透と,それによる物質移動への影響の定量化を念頭に研究を遂行した.
河川,湖沼等の水域の底質が有機泥である場合を想定し,理論的考察に基づいて底泥直上の乱れの底泥内部への浸透に関するコンピュータシミュレーションモデルを構成した.それに際しては,従来,検討が行われてきた浸透流に関する知見を援用した.検討結果より,底質を構成する粒子の粒径によって,底質直上の乱れの内部への浸透について,以下の場合が考えられることを見出した.すなわち,(1)粘土やシルト,また有機物質で構成された底質では,物質移動への乱れの浸透の影響は殆どない,(2)細砂で構成された底質の場合,底泥内部では浸透流が形成され,物質移動に影響を及ぼすようになる.なお,乱れによる底質内部の流れ場はDarcy則によって表現される,(3)粗砂や礫で構成される底質の場合,乱れの浸透が物質移動に及ぼす影響は細砂で構成された底質よりも更に大きくなるとともに,乱れによる底質内部の流れ場は,Darcy則から逸脱し,乱れによる非線型効果を考慮することが必要になる.
前述の細砂で構成された底質に対する,溶存酸素のフラックス(SOD)について,シミュレーションによる検討を行い,底質粒径の増大,すなわち透水係数の増大とともにSODが増大することを示した.また,粗砂や礫で構成された底質に対する乱れの非線型効果をモデル化し,実験値と比較して,このモデルの妥当性を示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成22,23年度と2箇年研究を遂行し,現時点までに,後述の研究発表に示すような,纏まった研究成果を得ることができた.これれは,既に,査読を経て,学術誌に印刷公表されている.

今後の研究の推進方策

平成24年度が最終年度となる.現在までに当初,想定していた研究目的の80%程度まで達成されている.最終年度はこれまでの成果を見直すとともに,構築したモデルをより精巧なものに改良すべく,他の研究者の実験データの収集や,討論等を積極的に実施し,それらをこれまでの成果の中に取り入れてゆく予定である.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Non-linear effects on solute transfer between flowing water and a sediment bed2011

    • 著者名/発表者名
      Higashino,M. and Stefan,H.G.
    • 雑誌名

      Water Research

      巻: 45 ページ: pp.6074-6086

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dissolved oxygen demand at the sediment-water interface of a stream : near-bed turbulence and pore water flow effects2011

    • 著者名/発表者名
      Higashino, M., Stefan, H.G.
    • 雑誌名

      Journal of Environmental Engineering, ASCE

      巻: Vol.137, No.7 ページ: 531-540

    • DOI

      doi:10.1061/(ASCE)EE.1943-7870.0000368

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Oxygen consumption by a sediment bed for stagnant water : Comparison to SOD with fluid flow2011

    • 著者名/発表者名
      Higashino, M.
    • 雑誌名

      Water Research

      巻: 45 ページ: 4381-4389

    • DOI

      doi:10.1016/j.watres.2011.04.051

    • 査読あり
  • [学会発表] 透水性底質表面での物質移動に関する一考察2012

    • 著者名/発表者名
      東野誠
    • 学会等名
      平成23年度日本水環境学会九州支部研究発表会
    • 発表場所
      北九州市立大学
    • 年月日
      2012-03-10
  • [学会発表] Hyporheic flowでのSODに及ぼす底質粒径の影響2012

    • 著者名/発表者名
      東野誠
    • 学会等名
      平成23年度土木学会西部支部研究発表会
    • 発表場所
      鹿児島大学
    • 年月日
      2012-03-03
  • [学会発表] 北川と五ヶ瀬川における魚類の生息に適した水文条件2012

    • 著者名/発表者名
      東野誠
    • 学会等名
      平成23年度土木学会西部支部研究発表会
    • 発表場所
      鹿児島大学
    • 年月日
      2012-03-03
  • [学会発表] 五ヶ瀬川および北川における魚種相の比較および水理量との関係2012

    • 著者名/発表者名
      鬼束幸樹
    • 学会等名
      平成23年度土木学会西部支部研究発表会
    • 発表場所
      鹿児島大学
    • 年月日
      2012-03-03

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公開日: 2013-06-26  

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