研究概要 |
H23年度は,道路情報便覧データが持つ有益な情報と,昨年度に開発した重複率最大化モデルとを連動させた,各種の施策分析を試みている.すなわち,道路情報便覧データには,海上コンテナ車の通行支障(重さ・高さ不足や交差点の折進障害など)のデータが収録されており,これを用いて道路ネットワークデータを作成して,海上コンテナ車の通行支障が,経路選択に及ぼす影響を計測可能なモデル構造を検討した.経路選択モデルのパラメータ推定の結果,重さ指定・高さ指定といった道路の規格に加えて,交差点折進障害が,海上コンテナ車の経路選択に影響を及ぼすことを定量的に示した.これは従来にない研究成果と見なせる.また,高速道路IC入口の折進障害の除去が,高速道略網整備と並んで経路選択に影響することをシミュレーション結果から示すことで,海上コンテナ車のボトルネック対策の重要性を分析結果から考察し得た.これより,具体的なボトルネック対策箇所の特定化と,その定量的効果を表現することが可能となり,実務上も極めて有益な結論を導くことができた. さらに,本科研費研究以外で開発した物流施設立地モデルと,本研究の大型貨物車経路選択モデルを連動させたモデルを開発し,臨海部での人口集積増加等によって物流施設立地が郊外部にシフトした場合に,大型貨物車に適さない道路区間での流動が増加する可能性があることを示すことで,都市計画のマスタープランの広域調整の必要性を分析結果から考察し得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特車申請電子データの解析について,国土交通省の協力の下,実データを入手し,重複率最大化モデルを用いた経路選択分析を行うことができた.さらに,道路ネットワークデータとしては,道路情報便覧データを利用することにより,交差点部の折進情報もモデルに取り込むことが可能となった.これは当初の想定以上の成果とみなすことができる.
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今後の研究の推進方策 |
特車申請電子データを用いた基礎的な経路選択分析は,平成23年度で一定の成果を得ることができたので,平成24年度は,同モデルを用いた様々な施策効果計測を行い,本研究で提案する方法論の実用性を検証することとする.また,土地利用モデルに経路選択分析を組み込み,交通計画のみならず,都市計画の視点から大型貨物車,ならびに関連施設の配置のあり方について考察を試みる.
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