都市防火の事例を知ることにより、現代都市の防火インフラのあり方を考えることを主題とした。事例を京都、岡山、東京にとった。その結果、近代水道が成立する明治時代の各都市の段階までは、防火インフラとしての用水は、灌漑と共同であり、京都上賀茂社と京都御所の確執の例など、基本的に防火用水の体をなしていない。灌漑用水として上流農村が優先し、このことは琵琶湖疏水のような近代インフラができても変わりなく、近代水道ができるまで問題をもちこす。防火に使われても、消化システムが人力である限り、その効果は薄く、これも近代水道の圧力送水システムを待たねばならない。さらに関東震災のような大規模火災が起こると水道システムは無力で、土地利用そのものの計画によって類焼を防ぐしかないのであるが、現在のところ根本的解決は土地所有の問題が絡み困難な「状況下にある。
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