[研究目的と意義]本研究では、地震や洪水などで発生する崖崩れや地盤崩壊などの災害規模を、安全に、発生後直ちに測量する手段を開発する。特に、地震や洪水の多い日本では、災害の早期復旧のためにも、安全で高精度な測量技術の開発は、重要な意義を持つ。 [研究の全体像]3年間の研究期間中に、簡単に上げられる気球に、PTZカメラを搭載、研究者らが開発した相対ステレオ視覚技術を適用し、危険地域に立ち入ることなく上空から地表の映像と3次元形状を高精度で獲得し、鳥瞰的な災害規模の把握と、ズーム機能による詳細データの取得を可能にする。 [平成23年度の開発成果]22-23年度までに詳細なズームデータを大域データに統合、画面内の校正板付近の対象について、m単位の絶対長に変換する手法を開発、またPZTカメラを走査して大域画像全体に渡る詳細画像データの撮像を得る事が出来た。それを受けて、最終年度の平成24年度は、下記①②により、ズーム画像毎のカメラからの距離を考慮して、m単位絶対長への変換パラメタの補正と、視線方向の違いによる座標系の傾きを修正、大域画像全体に渡って、ズーム画像の精度で3次元形状データを取得する事を可能とした。 ①ズーム画像毎の絶対長への変換: 23年度まででは、校正板を写した画像で、ピクセル長を絶対長に変換するパラメタを計算、それを全体に適用していたが、変換パラメタの値は、カメラから物体までの距離に逆比例する。そこで、ズーム画像間の重なり部分を利用して、変換パラメタを、距離の影響を反映させながら伝搬させる方法を開発した。 ②視線方向の変化による座標変換:ズーム画像は、画像毎に視線方向が変わる。そのため、大域画像からズーム画像の視線方向の変化を検出、座標変換により測定領域全体に渡って共通の座標系に合わす事を可能にした。
|