中心市街地活性化のためのトランジットモールなど、歩行者優先道路の本格導入推進を目指した整備指針を示すため、(1)歩行者の歩行空間における移動実態および街路形態に対する評価意識の実態を明らかにする、(2)来街者がまちなか歩行時における歩行者優先道路に対する評価意識構造を明らかにし、満足度評価が高い歩行者優先街路形状を明らかにするため、どのような歩車道形状や交通規制、公告看板などの沿道付属物・緑地帯・休憩施設および実施されるイベントを必要としているか、あるいは評価しているかを明らかにする、(3)街路空間形状、歩行者交通流、自動車や自転車交通量に対して決定される歩行者の直進・左右回避・滞留などの歩行行動の意思決定特性を明らかにする。 評価意識構造の具体的な成果は、(1)歩行者優先街路空間の満足度評価意識因子(構成概念)は、『街路安全性』『街路の景観』『歩行者利便性』『街路の潤い』『街路の憩い』であることがわかった。(2)評価意識構造モデルより、歩行者優先街路ではまず『安全確保』が求められており、『安全確保』がさまざまな評価因子およびそれぞれの項目の評価を高めることが確認された。(3)長野市中央通りにおいては、歩道幅員を片側0.9m広げ、自動車交通量を交通規制などで375台/h削減するとともに、沿道施設高さを10m以内に抑え、見通しおよび開放感を増すことにより、『歩行利便性』に関する歩きやすさの評価項目満足度を約0.4ポイント(8%)改善される結果が得られた。歩行者行動に関する具体的成果は、(1)車道からの距離と沿道からの距離はトレードオフ関係にあり、歩道中央の通行帯を選んで歩行する歩行者が多い。(2)歩行者はイベントエリアの設置位置にかかわらず、近づく傾向があることが確認された。(3)歩道幅員が広がれば一つの通行帯に歩行者が集中することはない。
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