研究課題/領域番号 |
22560540
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
柳澤 吉保 長野工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (70191161)
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研究分担者 |
高山 純一 金沢大学, 理工学域 環境デザイン学類, 教授 (90126590)
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キーワード | 地区交通計画 / 歩行者行動 / マルチエージェント / 道路空間評価意識 / 歩行者優先道路 |
研究概要 |
中心市街地の活性化を目指した歩行者優先道路の整備が多くの都市で計画されている。有効な整備方針などの知見を得るために歩行者優先道路社会実験が行われる都市も多い。社会実験評価に基づいて歩行者優先街路等を本格実施するに当たり、提案された街路形状および導入する交通規制など複数の代替案の中から最適な方策を選ぶためには、歩行者行動に基づいて、提案された歩行空間を評価・決定をするための指標が必要である。導入予定の街路形状および歩道内の歩行者流動に対して、個々の歩行者がどのように行動し、街路空間内のどこを占有するかを考慮することで、より安全で快適な歩行環境を歩行者に提供することが可能となる。すなわち、街路形状および歩行者流動を考慮した歩行者行動特性と、歩行者の歩行空間評価意識構造との関係を明確にすることで、よりサービスレベルが高い歩行空間を提供できる。観測した歩行者行動軌跡データを用いて歩行者行動動線と歩行者の歩道利用状況を計測し、街路の満足度評価に関連した街路空間評価意識構造モデルに取り込みを行い、サービスレベル(サービス水準)との関係付けを行うことにより具体的な街路の設計指針を提示することのできるモデルの作成を行う。得られた主な成果は、(1)歩行者は直進選択率が高く、とくに歩道中央を選択する歩行者が多い。(2)イベントエリアの設置と、自動車速度を低下させるために歩車道を蛇行させると、有効な歩道幅が狭隘化し、追従および停止滞留してしまう歩行者が多い。(3)共分散構造解析による街路空間評価意識構造モデルより、歩道幅員を拡幅することで『街路安全性』に対する満足度は高くなる。車道側への回避角度が大きく、街路通行帯に歩行者が多く存在する、街路を歩く歩行者の速度が速くなるほど『街路利便性』は高くなる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)歩行者行動を直進、左右回避、停止滞留のほか、追従、錯綜挙動選択、歩行速度、歩行密度、回避角度などさらに詳細な歩行者行動データを計測し、モデルの精緻化を図っている。 (2)これらの歩行挙動データを原因因子とし、共分散構造解析による街路空間評価構造モデルの構築に着手した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)昨年度に計測を開始した歩行者行動データ数をさらに増やす。 (2)歩行空間内の直進、左右回避、停止滞留、追従、錯綜それぞれの挙動選択と、歩行速度、歩行密度、回避角度等を推計する歩道状況の推定をマルチエージェントシミュレーション等を適用して行う。 (3)昨年度着手した、歩行者挙動および歩道状況を原因因子としたMIMIC型街路空間評価構造モデルを完成する。 (4)MIMICモデルの原因因子に、シミュレーション結果を導入することで、歩行者の満足度評価に基づく歩行者優先道路の歩行空間サービス水準の算定を行う。
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