研究概要 |
下水汚泥と未利用バイオマスの混合嫌気性消化が注目されている。本研究では,本技術の実用化に向けて下水汚泥と稲わらのパイロットスケールでの混合消化の実証連続運転を下水処理場にて行った。最初に,実験室規模の稲わらの回分式嫌気性消化実験を行い,実機での効率的な酵素前処理条件を決定した。パイロットスケールの消化槽の容積は500Lであり,対照系の下水汚泥単独系,水浸漬による可溶化稲わら混合系(稲わら系),酵素水浸漬による可溶化稲わら混合系(酵素稲わら系)の3系列を滞留日数約25日の条件で9週間の運転を行った。下水汚泥と稲わらの固形分混合比は1:0.2である。その結果,稲わら混合系では汚泥単独系よりも高い固形分分解率を示し,バイオガス発生量も増大した。稲わらのCODベースでのメタン転換率は,消化状況が安定していた期間の平均値で,稲わら系では48%,酵素浸稲わら系では72%であり,パイロットスケール実験においても稲わらから高いメタン転換率が得られることを実証でき,酵素の投与効果も確認された。
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