研究課題/領域番号 |
22560544
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
津野 洋 京都大学, 工学研究科, 教授 (40026315)
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研究分担者 |
西村 文武 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60283636)
日高 平 京都大学, 工学研究科, 助教 (30346093)
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キーワード | オゾン / 塩分含有排水 |
研究概要 |
まず、高塩化物イオン含有水における溶存オゾンおよびオゾン消費量の測定方法について再検討し、経時的な変化を測定するためにはACVK法を、オゾン処理終了時等で窒素パージが可能である場合にはインジゴ法をと二つの方法を併用することが望ましいとし、高塩化物イオン含有水のオゾン処理時の溶存オゾンおよびオゾン消費量の測定手法について整理した。 また、オゾンの溶解、消費特性、有機物の処理特性に与える塩化物イオンの影響を把握することを目的として、有機物としてギ酸あるいは酢酸をTOCで20mgC/L、塩化物イオンを0~200g/L程度の異なる濃度条件を設定し実験による検討を行った。オゾンの水中への溶解特性については、塩化物イオンが飽和に近い状態では、分配係数であるm値が0.1(-)を下回り、オゾンの水中への溶解量が3分の1程度まで小さくなるため、同一のオゾン処理時間であっても、オゾン消費量は、塩化物イオンが飽和に近い試水では塩化物イオン濃度が20g/Lの場合よりも小さくなること、ギ酸は、オゾン単独処理により分解され、その減少速度は、オゾン消費量を指標とした場合には、塩化物イオン濃度にかかわらず、同様の傾向を示すこと、酢酸のオゾン単独処理では、酢酸の減少はほとんど起こらず、塩化物イオン濃度が2g/L以上で、残留塩素濃度の増加が見られ、塩化物イオン濃度が高濃度である試水に溶解したオゾンは、酢酸のようにオゾンとの反応性の小さい有機物との反応よりも塩化物イオンとの反応が優先的に進むことを明らかにした。オゾン/過酸化水素処理についても同様に検討し、塩化物イオン濃度が飽和に近い試水では、m値が低くなり、オゾン単独処理およびオゾン/過酸化水素処理の双方で、有機物の除去効率が低下すること、また、塩化物イオンの他に、オゾンとの反応性の低い物質しか存在しない場合には、塩素系の副生成物が生成することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね研究計画どおり、さまざまな塩分濃度条件のときのオゾン反応特性やそのメカニズム推定を行った。
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今後の研究の推進方策 |
オゾン/過酸化水素処理など、促進酸化処理への影響について検討する。また応用例としてバラスト水処理への適用が考えられるため、微生物への影響についても、大腸菌をはじめとした一般的に知られ、取り扱いが容易な微生物を用い、塩分共存下での影響について、実験を中心として調査を行うことを検討する。
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