実海水の半回分式実験で、フジツボの幼生の不活化に効果的であることを示した。 また、実海水を対象に消毒効果を半回分式で実験的に検討した。その結果、同等のオゾン添加量でも溶存オゾン濃度は下水処理水に比べて低い状態のままであったが、大腸菌群や大腸菌の不活化効果は同等以上であった。実海水には塩化物イオンおよび臭化物イオンが高濃度で含まれており、オゾン処理により次亜塩素酸および次亜臭素酸がほぼ化学量論的に生成されることを明らかにした。またこれらが大腸菌の不活化に及ぼす影響を検討した結果、両イオンが実海水レベルで存在する系ではオゾン添加量0.1mg/Lで5log程度の不活化が得られたが、臭化物イオンのみの系では、不活化率が低下し、2~3logオーダの不活化率しか得られないことが明らかとなった。 廃棄物埋め立て地浸出水を対象に半回分式でオゾン処理を行った。浸出水には下水処理水に比べて10倍以上の塩分が含まれることもあるが、UV254であらわされる不飽和結合を有する有機物は、オゾン処理で大きく低減することが示され、さらに、オゾン/過酸化水素の促進酸化処理ではTOCの低下とともにジオキサンの顕著な低下効果が得られた。 高塩分含有水でのオゾン処理では、塩化物イオンや臭化物イオンの酸化によりオゾンが無効消費され溶存オゾン濃度が低い状態のままであり、有機物の酸化は低くなる。しかし、その反応定数はオゾンと分解有機物の反応よりは低く影響は少ないが、一方で塩分濃度が海水レベルまで上昇すると、それらイオンの反応速度が同等レベルになるとともに、オゾン溶解平衡定数が塩析効果で小さくなりオゾン溶解効率が低下することと相まって、有機物分解への影響は大きくなることが明らかとなった。しかし、次亜塩素酸などにより消毒効果は上昇することも明らかとなった。
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