研究概要 |
1.廃棄物処理能力の'祉会的枯渇'の経済モデルの構築 廃棄物処理能力の'社会的枯渇'の経済モデルとして廃棄物処理に係る個人の効用最大化モデルを構築した。処分場の残余容量という客観的要素(「物理的枯渇」)と併せて、処分される廃棄物に対し消費者」が抱く「畏怖」、過剰反応といった主観的要素(「社会的枯渇」)を経済の意思決定モデルに盛り込み、各要素の変化が意思決定に厚える影響を明らかにすることを目指した。その結果、以下のような結果を得た。最終処分場の物理的上限を決め、その量から処分量を引いたものを処分場の残量とし、消費者の効用はその残量が少なければ小さくなる。処分量には消費者の「主観」に基づく係数が乗じてあり、この係数が高ければ、つまり同じ処分量に対していっそうネガティヴな受け止め方をするならば、消費者の効用はより小さくなる。分析の結果、社会的枯渇の効果>物理的枯渇の効果、という関係が得られた。 2,廃棄物最終処分場の枯渇に関する情報提供が住民の廃棄物排出行動に及ぼす影響分の把握 廃棄物最終処分場の残余容量や希少資源の採掘可能年数など、枯渇性資源の危機的状況に関する情報提供が住民の廃棄物排出行動に及ぼす影響を把握するため、アンケート調査を実施した。また、コンジョイント分析を用いて、家庭ごみ減量化のために望ましい情報提供の在り方について検討した。その結果、次のような結果を得た。ごみ減量を促進すると思われる情報の内容は,より減量効果が高いと思われる順に(1)最終処分場の残余容量,(2)ごみ処理費用の内訳,(3)リサイクル量となった。ごみ減量努力やごみ問題に関する知識の度合いの高い人への情報提供は,そうでない人への情報提供に比べて,ごみ減量への効果が高まると考えられた.望ましい情報提供は,環境に対する危機感を促す情報(特に最終処分場の残余容量)が市及び町内で集計され,半年に1回提供されるといったものであった。
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