研究概要 |
都市ごみ焼却飛灰からの薬剤処理時に発生する二硫化炭素について,飛灰の種類を追加するとともに,ガスクロマトグラフを用いて,発生特性を明らかにした。二硫化炭素の発生にpHが影響している可能性が高いこと,溶融飛灰と焼却飛灰の比較から,含有されている金属量が二硫化炭素の発生量を左右している可能性が示唆された。また簡易試験法として,三角フラスコと検知管を組み合わせた試験を行い,これは現場でも使用できるものと考えられた。次に製錬ダストから酸を用いて金属を回収するプロセスで発生するアルシン(水素化ヒ素)の発生特性を検討した。まず検知管により,非鉄製錬ダストに酸を加えるとアルシンが発生することを確認した。さらに三角フラスコと吸収液を充填したガス洗浄瓶とを組み合わせることでアルシンを補足し,ICP発光分光分析によって定量する試験方法を提案した。ダストを硫酸,塩酸,王水,硝酸と反応させて比較すると,塩酸を添加した時の発生量が最も高かった。塩酸の濃度とアルシンの発生量の関係を見ると,1~9mol/Lまでは僅かに増加するもほぼ一定であったが、濃塩酸の場合はその5~10倍量のアルシンが発生した。酸とダストの体積比(液固比)を見ると,10では反応が不十分であったが20以上ではほぼ同程度の発生を示した。また経時的なアルシンの発生量を見ると,実験開始から約60分間はおよそ一定の速さで発生し、その後約2時間は発生は続き、それ以降は発生が止まることが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
廃棄物処理・リサイクル工程での発生ガスについて,都市ごみ溶融飛灰からの水素の発生現象を調べ,その発生特性を明らかにする。これまでに明らかにした飛灰処理時の二硫化炭素,ダストからの金属回収時のアルシンも含めた3つの事例を題材として,ガス発生を予測する簡易試験法を提案する。
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