過去の2年間に都市ごみ焼却飛灰のキレート薬剤処理時に二硫化炭素が発生すること,非鉄製錬ダストから酸を用いてレアメタルを回収する際に,アルシン(水素化ヒ素)が発生することを明らかにしていたが,本年度は,その発生条件について化学的に検討した。 二硫化炭素は,一部の重金属安定剤中に化学物質として二硫化炭素の誘導体が使われており,灰中の重金属量と比べて薬剤が過剰に存在する時に高濃度に発生する傾向が見られることを確認した。 アルシンについては,非鉄製錬ダスト中のヒ素が還元条件での強酸の存在下で発生する傾向が強いこと,特に塩酸が共存する時に発生しやすいこと,その際にはダスト中のヒ素の50%以上がアルシンとして発生することを明らかにした。 さらに今年度は,都市ごみの溶融飛灰からの水素の発生現象も検討した。しかしその水素発生量は,焼却灰のそれと比較して少なかった。
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