塩素化ポリエチレン製メンブレンを用いた、膜面および膜穴内に存在するEPS量を計測する手法の検討を行った。実際に実下水を用いて膜分離活性汚泥法の運転を行い、不可逆的ファウリングを起こした膜(塩素化ポリエチレン製MF膜)と、ファウリングを起こしていない膜について、膜全体を蛍光X線によって元素組成の定量分析とFT-IRによる有機物の定性分析を行ったところ、細孔内の有機物の検出が可能であることを示した。また、膜のみについても蛍光X分析を行っておき(C、BとClのみが検出される)、EPSには塩素は含まれないことを考慮し、塩素またはホウ素をマーカーとして利用することによって、膜からEPSを抽出することなく、その元素組成を定量することが可能となることを示した。また、フッ素系メンブレンについても、同様の検討を行い、Fをマーカーとして膜内の元素組成の計測が可能であることがわかった。 平膜モジュールにおける膜面せん断力の測定とCFD(数値計算力学)による計算手法の検討を行った。実験装置は、プラスチック製水槽下部に酸気管を設置したものを使用し、気泡流に伴うせん断力を壁面に設置したせん断力センサーにより測定した。気泡流に伴う壁面上のせん断力のシミュレーションには有限体積法を利用したk-ε法を用い、2次元計算により実験装置内の流動を計算した。なお、計算には、Ansys CFX11を使用した。CDFによる計算は、せん断力の時間変動についても良好に再現できることを示すことができたが、気泡条件の入力についてさらに検討が必要であることがわかった
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