研究概要 |
数年前から直交壁が建物の振動特性に与える影響について,まず1層立体軸組,ついで2層立体軸組を用いて,1方向入力による振動台実験を行い検討してきた。さらに,試験体を加振方向軸線から15度回転させて,斜め方向入射についても検討を行ってきた。 昨年度は,2階床の開口パターンの違いが,建物のねじれ振動特性に及ぼす影響について,振動台実験による検討を行った。ただし,影響因子とねじれ応答との関係を直接得ることができるように,試験体を単純化し,1,2階の加振方向剛性が全く同じになるような順偏心の耐力壁からなる試験体を用いた。その結果,床開口(吹き抜け)を加振方向壁のうち強壁側に設けると,ねじれ応答を抑える効果があることがわかった。しかし,一般の建物では,1階よりも2階の剛性は小さく,また,偏心が1,2階で異なる。 そこで,本年度は,影響因子が増えて複雑になるが,逆偏心の場合について検討を行い,床開口パターンとねじれ振動との一般的な関係を明らかにする予定である。これらのことが明らかになれば,大きな床開口を設けたい場合に,床開口をどのような配置にすれば,ねじれ応答を小さくできるかを知ることができ,実務設計上有用である。
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