研究概要 |
本研究は,環境負荷削減のための建築構造分野における対応として,人工造林の有効利用のための木材供給システムの提案,炭素固定源となる木質材料と鋼材のハイブリッド化による構造部材を開発することを目的としている。この構造部材は新築建物の耐震部材のみならず,既存建物の耐震補強にも使用できることを目指している。平成22年度においては,ハイブリッドによる構造部材の例として鋼板サンドイッチパネル構造を取り上げ,部材長さ,部材厚さ,支持端条件の異なる試験体の面内圧縮実験を行い,その基本的な変形挙動,座屈特性を分析するとともに,座屈耐力の評価について検討した。得られた内容は下記の通りである。 1)本実験の荷重と面外変形の関係において,部材厚さが小さく,部材長さが大きいものほど最大耐力到達点まで全体的に面外変形を生じ破壊に至るが,部材厚さが大きく,部材長さが小さいものはほとんど面外変形は生じずに局部的な破壊に至った。 2)鋼板サンドイッチパネルの座屈耐力は,座屈性状によって決定づけられ,部材厚さが小さく,部材長さが大きいものは,全体座屈,部材厚さがある程度以上になると局部座屈によって決定づけられる。支持点の影響としては,固定支持したものは端部で回転拘束される分局部座屈によって耐力が決定する傾向にある。 3)鋼板サンドイッチパネルは座屈発生後も耐力の上昇が見られ,この耐力上昇は座屈性状によって大きく異なる。全体座屈したものは座屈耐力と最大耐力に開きがあるが,局部座屈したものは座屈耐力と最大耐力は近い値をとる。 4)座屈耐力評価に関して,全体座屈耐力はせん断を考慮した式で,局部座屈耐力はリンクリングに対するHoff式によって,それぞれ座屈モードも含めて概ね評価できる。
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