研究概要 |
本研究は,暑中期のコンクリート工事全般に及ぼす気象条件の影響を対象とし,良質なコンクリート構造体を構築すべく,「製造,施工,品質」に関して,実測・実験・検討を行うことで,体系的に課題を提示し,対策方法を提案するものである。平成22年度に行った実験および得られた成果を整理すると以下の通りである。 1.生コン温度,運搬,施工環境の実測 製造時の材料温度(セメント,骨材,水)および練混ぜ直後の生コン温度を立地および設備の異なる複数の工場で,1秒間隔で継続測定した。これにより使用材料や生コン工場(プラント装置)の条件さらに運搬による影響をもとに推定が可能な,温度推定式中の実験定数で,生コン工場で決定する係数βをより精度および再現性(普遍性の)高いものとして提案した。 次に,運搬時の温度上昇には,気温,日射,時間が影響することは明らかで,ドラム色の異なるミキサー車を用いて,気温,日射量の測定と併せて,ドラム内コンクリートの温度を測定した。結果は平成23年度予定の実験と併せて,上記温度推定式の運搬による影響,係数αの精度向上を図る。 2.構造体コンクリートの品質に関する実験 周囲を断熱した断面100cmの柱モデル,幅20cm程度の壁モデルの実大試験体を用いて,内部温度の分布および推移と圧縮強度の関係,さらに,養生期間の耐久性に及ぼす影響を促進中性化試験,表面の細孔空隙構造から検証した。結果,荷卸し時のコンクリート温度の圧縮強度への影響は,38℃程度までは認められなかったが,中性化の進行には湿潤養生期間の影響が顕著に認められることを確認し,さらに湿潤養生期間が,主に脱水に起因すると考えられる表層部の組織形成に影響することを示した。
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