研究概要 |
本研究は,暑中期のコンクリート工事全般に及ぼす気象条件の影響を対象とし,良質なコンクリート構造体を構築すべく,「製造,施工,品質」に関して,実測・実験・検討を行うことで,体系的に課題を提示し,対策方法を提案するものである。本年度に得られた成果を整理すると以下の通りである。 1.生コン温度,運搬,施工環境の実測 前年度と同じく,材料温度(セメント,骨材,水)および練混ぜ直後の生コン温度を(1)立地,(2)設備,(3)地域の異なる複数のプラントで測定した。温度推定式中の実験定数ssの精度を高いものとして示した。また,運搬時の温度上昇には,気温,日射,時間が影響するため,ドラム色の異なるミキサー車を用いて,気温,日射量の測定と併せて,ドラム内のコンクリートの温度を測定した。これまでの実験結果と併せて,温度推定式の運搬による影響に関係する係数αの精度向上を図った。一方で,日射の影響を直接取り入れた温度変化の推定方法(シミュレーション)を行った。 2.構造体コンクリートの品質に関する実験 周囲を断熱した断面100cmの柱モデル,幅20cm程度の壁モデルの実大試験体を用いて,含水量,密度,結合水量などを測定した。おおむね圧縮強度の影響する傾向が得られたが,次年度に再度実験を行い,強度に及ぼす影響をより示した。 3.水和熱によるポゾラン反応の促進に関する実験 温度上昇を抑えることを目的として混合したフライアッシュが,セメントの水和熱によりポゾラン反応が促進されかを課題に,温度,打設後の時間という点から検討した。結果,40度以上の履歴を受けると実用レベルで比較的早期に強度が増大するが,最高温度が70度を超えるようになると強度増大が鈍化する可能性があることを確認した。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は,最終年度にあたるため,当初計画の成果を得るべく不足する実験データを補うための実験を行う。平成24年度(2012年度)は最終年度でもあり,実験は最低限に計画していたが,2011年の夏期は,年度始めに計画した実験実施時期には気温上昇が十分でなかうた。信頼性の高い成果を得るため追加して実験を行う。
|