研究概要 |
上屋構造・基礎構造の相互作用に関する砺究は数多く見られ,杭基礎の終局設計の検討が行われつつあるものの,未だ途上段階である。すなわち,保有水平耐力の観点から靭性の高い鋼管杭を適用した場合でも,地盤の水平抵抗に期待して,杭基礎は設計されており,杭基礎の終局設計に対して早急な対応が必要である。しかし,上屋の応答が杭基礎の終局耐力に与える影響や基礎構造の崩壊によって上屋構造の倒壊の可能性を検討した研究は申請者以外ではほとんど見受けられない。そこで,本研究では下記の検討を行った。 鋼管杭には上屋構造の鉄骨柱に比べて大きな径厚比が用いられることが多く,比較的早期に杭頭で局部座屈が発生する一方,液状化地盤では地盤による水平抵抗の喪失により,全体曲げ座屈を生じる可能性がある。さらに,上屋応答による変動軸力により鋼管杭が繰返し荷重を受ける場合,単調荷重と異なり局所的に応力集中することを。そこで,杭細長比,杭径厚比,地盤反力係数,繰返し荷重回数・振幅等のパラメータに対して両者の連成座屈メカニズムを明らかにした。次に,鋼管杭が動的荷重を受ける場合の動座屈挙動を明らかにした。地震時に上屋応答による動的軸力変動や上下動等の影響により,杭には動的鉛直荷重が作用する。そこで,有限要素による弾塑性大変形解析により,解析モデルを作成し,杭の細長比や地盤反力係数,荷重周期等をパラメータとして動座屈が生じない安定荷重を明らかにした。その際,杭の幾何学的非線形性,杭と地盤の材料非線形性を考慮したモデルを用いた。最後に,縮小模型振動台実験による上屋応答の変動軸力による杭基礎の全体曲げ座屈崩壊メカニズム再現を再現し,水平・鉛直荷重を受ける鋼管杭の塑性変形性能と鉛直荷重支持限界性能評価を行った。
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