研究課題/領域番号 |
22560568
|
研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
小林 正実 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (50186772)
|
キーワード | 座屈 / 繰り返し載荷 / 鋼管 / 有限要素法 / 複合加力材料試験 |
研究概要 |
繰り返しねじれ変形を受ける薄肉円筒部材について、円筒面内変形分岐による歪の非一様化の現象の解明と、理論予測方法の構築を目的として理論的及び数値解析的研究を実施した。本年度は、交番塑性領域に対する理論の拡張と数値解析プログラムの開発、及び、BiotのInternal Bucklingの有限要素法解析に取り組み、下記の成果を得た。 1、[交番塑性領域における基礎理論の構築]既往のシェイクダウン領域における円筒面内変形分岐現象による歪の非一様化の予測理論を、交番塑性領域に対して拡張した。交番塑性領域に対しては、定常状態の連続的変化(定常状態経路という)を追跡するための構成則を陽な形で導けないため、本研究者らによる交番塑性領域における定常状態経路解析の理論を応用する。すなわち、交番塑性領域においては、定常状態経路の増分解析は、最終的に反転時残留塑性歪変化率の方程式に帰着される。この方程式の自明解として、基本経路(歪分布が一様な定常状態列)の増分解が求まる。また、この方程式が余解を持つ条件として分岐点(歪分布が一様でない定常状態への移行が可能となる定常状態)条件が誘導される。 2、[数値解析法の提示と数値解析プログラムの開発]有限要素法等の離散化解法を導入し、(1)の基礎理論に基づき、歪の非一様化の予測のための、具体的な数値解析法を提示した。更に、離散化法として、一様応力2次元有限要素法を採用し、数値解析プログラムの開発に取り組み、ほぼ完成させた。 3、[Internal Bucklingの有限要素法解析の実施]本研究課題は、BiotのInternal Buckling(剛体に囲まれた弾性体に一様な圧縮変形を作用させたときの座屈)と類似した現象を扱っているため、この問題を一様応力2次元有限要素法により解析した。不整を与えたときの経路の追跡をいくつか行ったが、基本経路に近い経路を辿ってしまい、分岐モードは容易に現れないことがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交番塑性領域における定常状態経路解析は、複雑な計算を必要とし、研究実績(2)の数値解析プログラムの開発に、相当の時間を要したため。また、研究実績(3)のInternal Bucklingの分岐後解析が、他の弾性座屈と違い、分岐モードが現れにくく、成果が上がっていないため。
|
今後の研究の推進方策 |
平成23年度に取り組んだ研究が、本研究課題の核心部分であるが、相当の困難を伴うことが予想されたところであり、単年度では対応しきれず、まだ十分に成果が上がっていない項目もある。次年度も、引き続き、これらの研究項目を完成させることを優先し、他の研究項目(履歴挙動解析による理論の検証、実際的な問題への応用、など)の優先度を下げる。
|