研究概要 |
低炭素型社会への変革が求められている中で,建築・土木分野の主たる構造材料であるセメントが,その製造過程において1tonあたり約800kgの二酸化炭素を排出する事実は重い。本研究は,このセメントに代わるものとして,産業副産物であるフライアッシュ(F)および高炉スラグ微粉末(S)に加え,今後益々その排出量の増大が予想される廃石こうボード微粉末(G)を結合材料として用いたグリーンコンクリート(F-S-Gコンクリート)の高度化を図るものである。しかしこの材料は,その長所を引き出すために十分な湿潤養生環境を必要とするとともに,セメントのような強アルカリを持たないため,構造部材としての適切な補強筋を模索する必要がある。本研究は,このグリーンコンクリートへ自己養生機能を付与するための材料選定と調合方法からなる材料設計手法を提案し,新しい素材による補強効果を構造部材レベルで検討するものである。F-S-Gコンクリートは,セメントのような強アルカリを持たない。したがって,構造部材における補強筋として従来一般に用いられている鉄筋はその使用の前提条件が崩れることになる。新たな補強筋を模索する第一のステップとして本年度では,まず「竹」を用いることを検討した。その結果,以下の成果が得られた。 1)充分なる湿潤養生効果をもたらすことを意図した高炉スラグ骨材および再生骨材を使用したCCCは,普通骨材を用いた場合と同等の強度発現を示した。 2)高炉スラグ骨材界面において結合材との反応生成物を確認することができ,複合硬化体において連続体を形成していることが示唆された。 3)高炉スラグ骨材を用いることにより,自己収縮ひずみを適切に低減できることが示された。 4)補強筋として竹を用いた新しい構造部材(Concrete filled bamboo)を提案し,この構造特性を定量的に把握した。鉄筋代替材料として十分な利用可能性を持つことを確認した。
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