研究概要 |
平成22年度は,建築物の内圧の制御方法について,外装材などの部材に作用する風圧力の空気力学的性質や部材の力学的性質を利用して,パッシブに内圧を制御し,部材に作用する風圧力を低減し,建築物全体に発生する被害を最小限に留める手法を検討するために,台風や突風時の建築物等の被害を調査し,被害部位や被害の状況を明らかにした。また,風洞実験に基づく建築物模型に作用する外圧から内圧を計算する手法を定式化し,計算プログラムの開発を行った。このプログラムを用いると,建物外部に作用する風圧力を百点以上のセンサーを用いて壁面や屋根面における分布を時間変動する記録として用い,建物外殻の任意の位置に開口を任意の時刻に発生させることが可能である。特に,ガラスサッシが大きな風圧や飛来物等で破損する状況をシミュレートできるように,内外圧差が一定値を超えた場合に開口が発生するモデルを計算可能となるように工夫した。このプログラムを使用し,パッシブな内圧の影響の緩和方法として壁面や屋根面に小さな開口を設ける方法を風洞実験結果を用いて検討した。壁面開口部や,屋根面開口部が内圧の緩和に効果があることが見出された。特に,外圧に大きな負圧の作用している部分に開口を設ける場合に荷重の緩和効果が大きいという結果が得られた。 さらに,建築物に作用する強風時の風圧力を建物全体でモニタし,内圧を制御するアクティブな手法を検証するための実験方法を検討し,必要となる実験のための計測装置のデザインと開発を行った。特に平成22年度は計測部分を開発した。
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