今年度はまず、在室行動の規則性を利用して近い将来の空調稼働を決定する制御方法を新たに提案した。元データ日数を1~5日、参照時間幅を前後0分~前後90分ずつとして、空調合致率(在室行動と空調稼働が同期する度合い)を求めたところ、15分後予測の年平均空調合致率はいずれも在不在合致率(在室行動の規則性を表す指標)より高く、また参照時間幅が大きいほど高まる傾向がみられた。元データ日数により比較すると、5日の空調合致率は2日のものよりも安定して高かった。在室行動を正確に予測することにより、予熱暖房の熱負荷削減効果を高められると期待される。 また、在室行動推定法開発の一環として、主に、人の在・不在とCO2濃度および相対湿度の変化から住宅における室内の在室人数を推定する方法について、推定精度に影響を与えると思われる誤差関連項目の許容範囲を検討した。複数の標準条件について検討したところ、誤差関連項目の中には、許容範囲が極めて小さく、高精度の測定が求められるものもあった。しかし、人数推定の計算過程において算出される定数の調整による改良の可能性も示された。 環境調整行動に働きかける住環境教育の基礎学習教材として、明るく強い建物デザインを考える教育プログラムにおける食材利用の可能性を検討した。壁部品に用いる食材に必要な条件を、①扱いやすく模型毎の差異が少なく作れる。②食べやすく材料費も高くない。として検討した結果、クッキー生地を採用した。また、接着に用いる食材に必要な条件を、①扱いやすく粘着性がある。②壁部品との食べ合わせが良い。③固まるまでの時間が数分である。④一般に流通している身近な食材である。として検討した結果、ヌガーを採用することにした。開口部のない建物模型の剛性を示す[荷重/変位]は120N/mm、圧縮強度は465~499Nであり、両者とも大きな値を示した。
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