研究課題/領域番号 |
22560588
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
吉澤 望 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (40349832)
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研究分担者 |
一ノ瀬 雅之 首都大学東京, 都市環境学部, 助教 (00408709)
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キーワード | 照明 / 分光特性 / 色彩計算 / マルチバンド計算 |
研究概要 |
近年調色が容易なLED照明器具や青色防犯灯などが登場し、照明の色が人間に与える影響が改めて注目されるようになってきている。今後は分光情報を考慮した光環境評価指標の提案が増えていくことが考えられるが、実際の建築・照明設計でそれらを十分に生かすには、設計段階で正確な分光特性情報や色彩データを実用的なスピードで算出可能な照明計算プログラムが必要となる。22年度は実用的な計算量を考え、主成分分析により対象に特化した基底を算出し、高い色再現精度を少ない基底で実現する手法の有用性を検討した。しかしこの手法では多重反射の影響の予測が不十分であり、様々な反射率をもつ物体が空間内に散在するテストケースでは十分な精度が得られていなかった。そこで23年度は多重反射や複数の光源がある場合に適用可能な仮想カメラ表現計算手法の応用を試みた。本研究では建築空間内での照明色予測精度の検証を行った。照度計算によって間接成分と直接成分の割合を出し、仮想カメラ表現手法において2つの成分を分離して求める手法を検討した。その結果、無彩色やYRの多い一般的かつ単純な形態の建築空間でのシミュレーションにおいては、どの色においても高い精度を得ることができた。一方で空間の大きな面積を有彩色の単色が占めるような特徴的な空間においては、マルチバンド計算手法に比べ、まだ十分な精度が得られていない。今後は実際の建築空間における色彩バランスを確認しながら、より適切なテストケースの検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
建築空間で有彩色の単色が大きな割合を占めるような特異なケースにおける色彩シミュレーションについては、22~23年度に検討した手法においてはまだ十分な精度が得られていない。またその検討に手間取ったために当初予定していた並列計算手法の検討がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
テストケースによっては色彩計算手法の精度が十分に得られていないので、特に多重反射を考慮する手法の再検討を行うと共に、実際の建築空間における色彩バランスを考慮したテストケースの設定を再検討する。またLED照明および昼光併用時の照明色温度計算における精度検証について、実空間での測定結果の比較を基に検討を進める予定である。研究遂行グループとして今年度は学生が大学院生1名となり昨年度までと比べて人手が減少するため、昼光の分光特性データについては研究分担者が過去に測定したデータを活用し、また実空間での測定については別研究で構築した実験空間(LED照明および人工太陽設置)を再利用することで効率的に研究を進める予定である。また23年度照明学会東京支部大会・24年度建築学会大会にて研究成果を学会発表していく予定とする。
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