研究課題/領域番号 |
22560589
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
永野 紳一郎 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (40329371)
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キーワード | 火災 / 消防 / 減災 / 都市計画 / 火災旋風 |
研究概要 |
地震時の火災などで起きる大火によって火災旋風が避難場所で発生する可能性に対して、本研究では、このような大規模火災時の被害拡大を防ぐことを目的として、火災旋風の発生メカニズムを調べ、その対策を考えることを目的としている。 火災旋風の摸型実験では、アルコールを用いて小規模の火源を配列させて、火災旋風を発生させることを試みた。模型実験では、アルコール、アルコール容器(鉄製60mmφ)、発煙管、ビデオカメラ、風速計を使用する。アルコール容器を容易に移動できるように水槽用の砂を敷き詰めた設置台を作成した。設置台の周囲からの気流の影響(換気扇による風の流れなど)を減らすために三方の周囲に高さ70cmの金属網を置いた。さらにこれをアルミホイルで覆う(横風を遮る)場合と覆わない場合を行った。ビデオ撮影側の面は寒冷紗を伸ばしてビデオまでを含めるように覆った。火源は、設置台のほぼ中央位置に5×5の整形配列パターンで配置した。実験は、火源とする配置パターンの容器にのみ20ccずつアルコールを入れて、点火し、発煙開始、ビデオカメラ撮影し、燃焼終了(5分程度)まで行う。アルコール容器同士の間隔(1cm間隔で変更)や、アルコールを入れる箇所を変更させて、様々な熱源の状態(以下燃焼パターンと称す)の実験を行う。住宅街などの配列を考慮し燃焼パターンを手探りで調べていった。 燃焼パターンから、複数の炎が寄り添い合う集合火炎になる。さらに炎と炎の間に間隔を設けることで、その間隔に気流が流入し、炎による上昇気流との交ることで炎の旋回が発生した。そのとき火災旋風が発生した火源に向かって周囲の火源の炎が旋回方向にたなびいた。火災旋風について解明できた点を簡単にまとめると、(1)横風が強いと旋風は発生しない、(2)まとまった熱源が2つ以上あり、それぞれの熱源に間隔があると火災旋風が発生しやすいことであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
火災旋風の発生場所が、わずかな横風によっても影響を受けるため、その調整に時間を費やしたため。
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今後の研究の推進方策 |
火災旋風発生パターンは5×5の火源設定によっても、ある程度観察されており、シンプルな発生パターンから先に進めて、市街地の木造家屋密集市街地を想定した火源パターンをモデル化して、火災旋風の発生状態を観察する。横風の影響などが問題であったが、寒冷紗などの防風シートを配置して、横風の影響を制御する。
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