地震時の火災などで起きる大火によって火災旋風が避難場所で発生する可能性に対して、本研究では、このような大規模火災時の被害拡大を防ぐことを目的として、火災旋風の発生メカニズムを調べ、その対策を考えることを目的としている。 火災旋風の模型実験では、ろうそくを用いて小規模の火源を配列させて、旋風を発生させることを試みた。模型実験では、ろうそく、発煙管、ビデオカメラ、風速計を使用する。実験には水槽用の砂を敷き詰めた設置台を用いて、設置台の周囲からの気流の影響(換気扇による風の流れなど)を減らすために三方の周囲に高さ70cmの金属網を置いた。 今年度の実験で使用したパターンは、金沢の密集市街地を対象として、ろうそくで住宅の配置パターンを模擬した。実験はすべて水平の状態で行った。配置パターンは主に道路形状や平面上の配置が類似したものに着目し、その外周を道路に沿うように建物が立ち並んでいると想定し、建物から道路幅8m(モデルでは2cm)の幅を開け周囲を約5m(1.2cm)の高さに相当する壁で囲った。 ほぼ全てのパターンで程度の違いはあるが旋風の発生を確認することができた。旋風が確認できた配置パターンは、炎と炎のあいだにある程度の空間があり、旋風の多くは建物で囲まれている箇所ではなく側面(道路側、又は広い空間のある箇所)に発生した。部分的に燃焼させた実験でも外側、道路側の開けた空間に強い旋風の種となりそうな旋風が発生した。 また、米国NISTによって開発された火災現象のためのシミュレータFDSを用いて、L字型の建物配置のパターンで火源の位置や数を変更したシミュレーションを行った。燃焼させた建物の側面に気流の旋回ができることが確認できた。気流の旋回を確認できる場所は建物ごとの決まった位置であり、建物と建物の間に空気の通り道となる空間が存在し、広い空間が存在する方向で旋風が発生した。
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