研究課題/領域番号 |
22560592
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
村上 泰浩 崇城大学, 工学部, 教授 (10133563)
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研究分担者 |
矢野 隆 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (30109673)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 社会調査 / 九州新幹線 / 在来線鉄道 / 騒音 / 振動 |
研究概要 |
本研究では新幹線と在来線が隣接走行する鉄道沿線での鉄道騒音・振動暴露と社会反応の関係を段階的に調査し、沿線住民の社会反応が、新幹線開通前後や在来線の高架化でどのように変化するかを調べる。本研究の目的はこのような長期間にわたる調査・分析を通して、今後の高速鉄道・鉄道高架化・改良工事における騒音政策に貢献しようとすることである。調査対象地域:熊本駅を基点に新幹線と在来線が隣接走行する熊本駅以北約5km(以後、北地区)、熊本駅以南12km(以後、南地区)の鉄道延長距離約17km の沿線とし、鉄道軌道の両側水平距離で150m の区域とし、調査区域内の住宅総数(戸建・集合住宅、北区約3500 戸)を数・地域がほぼ均等になるように北地区で4 グループ(N1~N2)、南地区で3グループ(S1~S3)に分け調査を実施する。社会調査:社会調査は、留置法によって実施した。調査員がアンケート用紙を配布し、在宅の場合は協力依頼の説明を行い、不在の場合はポストに投函し約1週間後に回収した。平成24年度は、新幹線開通後、北地区在来線2次仮線走行時において社会調査、騒音・振動測定を実施した。調査対象地区ごとの騒音・振動暴露量と線路から調査対象住宅までの距離減衰量を求めることで、各調査対象住宅の騒音・振動暴露量を推定した。新幹線騒音の暴露量は小さく不快感、活動妨害への影響も低いため、新幹線開通後では開通前に比べ不快感や活動妨害への影響も減少した。調査地区の高架と遮音壁は特に新幹線軌道中央から30m以下の戸建住宅に不快感減少の影響が大きいことがわかった。在来線の線路が1次仮線から2次仮線へ西側へと移動したことにより、鉄道に近い地域での不快感の大きい住宅の割合がやや西側に移動した。昨年度の結果と同様に新幹線騒音は在来鉄道騒音と同様に会話よりTV聴取妨害への影響が大きいが睡眠妨害への影響は小さいことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新幹線開通直後の在来線2次仮線(新幹線高架下軌道)におけるアンケートによる社会調査および騒音・振動測定を行った。予定した測定・アンケート調査が実施できた。アンケート回収率は昨年を上回ることができた。 昨年度の次年度計画で記述した「マンション等の高層建物における影響を調べるために、高層建物の異なる高さにおける騒音測定を実施することにした。」については、実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
在来線の高架化工事が完了するまでには数年の期間を要する。今年度と昨年度の新幹線・在来線の走行状態に変化はないため、これまで実施してきた社会調査は、今年度は行わず、昨年度実施できなかった、マンション等の高層建物における影響を調べるために、高層建物の異なる高さにおける騒音測定を実施する。 今年度は最終年度であるため、これまでに得られたデータを総合的に分析し、国際学会等で発表する。
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