研究概要 |
今年度は、2008年~2012年に実施した、騒音・振動測定結果ならびに鉄道沿線住民に対するアンケート調査結果を精査し総合的に分析した。 アンケート回収率は約30%である。住宅タイプで比較すると、全ての調査で集合住宅が戸建住宅より回収率が低かった。回答者の地域好感度は、全般に戸建住宅が集合住宅に比べやや好感度が高い。集合住宅において、「嫌いである」と回答した人の割合が新幹線開通後低くなっている。新幹線開通後にどの騒音・振動源に最も悩まされているかの問いに対する回答の割合は、どれにも悩まされていないという回答が最も多く、鉄道騒音・振動に悩まされている人の中では在来線騒音を挙げる人が多かった。在来線二次仮線切替後では、住宅タイプによらず、どれにも悩まされていない割合が増えている。 調査対象区域には鉄道枝線はなく全ての区間で同数の列車が通過する。新幹線開通前後で普通列車(約80本)と貨物列車(約12本)の通過本数にはほぼ変化がないが、特急列車(92本)が廃止され新幹線(約130本)に置き換わった形となり、全体の通過本数は約25%増加している。 騒音の評価量(LAeq,24h、Lden、Ldn、LAeq,d1等)および振動のピークレベルの平均値LVmaxを各住戸について求めた。新幹線開通前後の騒音のアノイアンスの関係は、全体的には開通前後で騒音暴露反応関係に差は見られない。新幹線開通後の在来線と新幹線による騒音のアノイアンスの関係は、全体的には在来線騒音の方が新幹線騒音よりも住民に及ぼす不快感が高いことが読み取れる。新幹線開通後の在来線と新幹線による振動によるアノイアンスの関係は、戸建住宅において在来線振動に対する反応が高い。ロジスティック回帰曲線を用いて騒音暴露量と%highly annoyedの関係を示し、既存のデータと重ねたた結果、在来線の暴露反応曲線は既存の研究の反応曲線に比較して高い傾向にあるが新幹線のそれは低い傾向にある。
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