研究課題
平成9年4月の所謂容器包装リサイクル法の施行以降、多くの自治体がゴミの分別回収を行い、包装容器類の資源ゴミは洗浄するように指導しているため、当該地域ではこの洗浄用の水使用量が増え、排水負荷等も増えている。その一方では、洗浄の煩わしさを嫌って多くの貴重な資源が可燃ゴミまたは埋め立てゴミとして廃棄されている。本研究は、資源ゴミに関するアンケート、資源ゴミの洗浄に関する被験者実験などから、住宅における資源ゴミの洗浄により発生する新たな水(湯)使用負荷、排水負荷、(給湯)エネルギー消費についての原単位とその推定法を提案し、上下水処理施設などの計画にあたって有益な資料を提供し、「洗浄のしやすさ」「洗浄負荷の低減」という観点から、廃棄されにくく環境負荷の小さい包装容器(資源ゴミ)のあり方を探ることを目的とする。平成23年度は主婦22人を被験者として、資源ゴミ(28品目)の洗浄実験(冬期実験)を行った。実験装置は、熱源として比例式ガス給湯器を設置し、流量計(パルス発信)、熱電対を用いて洗浄時間、洗浄水量、使用湯温を測定した。また、洗浄の様子をビデオ撮影し、実験後にビデオデータを解析して洗浄時間を確定した。実験は、2人1組として1人3回の洗浄を交互に行った。洗浄は洗浄前にシングルレバー水栓にて通常の湯量、湯温に調節後、行った。また、本被験者を対象に、1週間の資源ゴミの廃棄量についてアンケート調査(1日3回分の廃棄量)を行った。この実験結果等より以下の知見を得た。○22人中、2人はどの品目の洗浄においても湯を使用しなかった。○高温の湯を使用する被験者は水側を止めて湯側(給湯器出口)のみの使用となり、通常も給湯器の設定温度まかせになっていると予想される。○28品目を続けて洗浄したこともあり、資源ゴミの品目により湯量、湯温を調節した被験者はほとんどいなかった。○洗浄時間(洗浄水量、エネルギー消費量)については被験者による偏り(個人差)が大きい。
2: おおむね順調に進展している
アンケート、実験等、予定通りに進んでいる。洗浄実験については24年度に同程度の夏期実験を予定しているが、被験者の個人差が大きく、得られた原単位は参考値程度になると予想される。
上に述べたが、提案内容は参考程度となるが、本研究の目的の一つは洗浄負荷を明らかにすることによって環境負荷を減らす取り組みを促進させることにもあるので、洗浄のしやすい包装容器が開発される、もしくは洗浄せずに廃棄が可能な回収システムが開発されれば本研究の目的は達成される。なお、洗浄による排水負荷の原単位については、資源ゴミの種類、内容物により大きく変わるので、これを研究目的から除外することとした。
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2011年度大会(関東)日本建築学会学術講演梗概集
巻: 2011年D-1環境工学1 ページ: 643-644