1)日本のPPP型都市再生のこれまでの事例の成否・限界の検証:昨年度までの大都市(東京等)の事例調査を踏まえて、補足的にPPP型都市再生プロジェクトに関わった政策担当者、民間のディベロッパー等にヒヤリングを行った。さらに比較対象であるドイツの公民協調型・契約型プロジェクトとの比較を行い、日本型PPPプロジェクトの特質についての仮説的整理を行った。東京のような開発需要が多い地域では、本来ならば、公共セクターがより、規制誘導的方式を展開できるのが、必ずしも明示的でない点が日本型PPPの一つの特質と思われる。 2)ドイツにおける新たな公民協調・契約型のPPP手法の可能性と限界についての補足調査:ハンブルクで展開されているIBA方式によるプロジェクトマネージメントについて、また、同市で展開されているヨーロッパ最大級のウォータフロントプロジェクトであるハーフェンシティプロジェクトについて、公民連携の観点から詳細なヒヤリング調査を行い、ドイツでも必ずしも事前確定型の契約方式でプロジェクトをすすめるのではなく、協議型の段階的プロジェクト運営を行っていること、すべての情報を開示するわけでない点を明らかにした。さらに、ドイツの重要な都市再生政策である西の都市改造について、ルール地域の団地を対象にして実態把握と関係者へのヒヤリングを行った。 3)3カ年の調査の整理と今後の調査課題の整理:日独の主要都市再生プロジェクトの比較検討を行う中から、21世紀に入ってからの都市プロジェクト主導型都市形成という方式が基調となっていること、その際、両国の都市自治体の都市政策をになうプランナー像も大きく変わっており、その扱う領域も伝統的な物的空間整備から民間セクター(住民、NPO も含む)との連携、協調等のソフトマネージメントの領域の比重が高まっていること、日独の共通性、異質性についての一定の仮説的整理を行った。
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