本研究は、環境に配慮した都市計画制度と景観計画制度の整合的確立を目標に、日本においても必要と考えられる戦略的環境アセスメントSEAの環境及び景観評価手法に着目する。欧米のSEA導入国の事例を参照し、その現状課題を明らかにしつつ、特に計画段階の環境影響評価の中で日本において研究が十分に進んでいない、「景観の評価」について明らかにする。具体的に、「戦略的環境アセスメントSEA」制度が都市計画体系に適用された場合の「景観アセスメントLA」と「景観計画」との関係性、計画段階の環境影響評価とミチゲーション手法を、できる限り早急に明らかにすることが本研究の目的である。 本年度は、国内外のヒヤリング調査と現地調査を主な手段としており、以下の調査を実施した。 1)イギリス及びイタリアにおける環境に配慮した都市計画行政制度、その都市計画に対する戦略的環境アセスメントSEAの具体的な評価手法と体制の国際比較、2)SEAとミチゲーション手段となる景観アセスメントLAとの関係性と連携性、さらに計画手段としての景観計画の関係性と連携性について、行政及び研究機関への調査を行った。さらに、3)日本における歴史的景観評価のための堺市百舌鳥古墳群の現地調査と、環境及び景観再生のモデル事例としての淡路夢舞台の現地調査、震災復興の景観整備事例としての神戸の現地調査を行った。
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