本年度には、次の2つの課題について調査研究を行った。 第1は、高齢者が居住する住宅に対し、介護保険の20万円に、自治体が独自に10万円を加えて費用を負担し、地元の建築家、ケアマネージャー、理学療法士、工務店、市職員がチームを構成して実態調査を基に住宅改善を行っている「リフォームヘルパー制度」の実態調査を、愛知県内の安城市において実施した。分析資料は、工事の必要性を申請した内容と、工事図面を含んだ実施後の報告書で、現地の調査に同行して居住者の意見も事例的に採取した。実施費用としては30万円の限度内に納めることが多く、段差の解消や、手すりの設置、便所・浴室の設備部分の改善であった。少額で居住環境が改善され、居住者の評価も高いことから、普及が望まれることを明らかにした。 第2は、愛知県内のシルバーハウジング58団地を対象に、地域のコミュニティを形成するのに有効な「生活団らん室」の確保と利用状況と、ライフサポートアドバイザーの支援状況について実態調査を行った。「生活団らん室」が活用されている団地では、必ずしもライフサポートアドバイザーの滞在時間が長いわけではなく、各居住者の安否確認を行い、「生活団らん室」を開く半日程度勤務すれば十分であるという実態が明らかにされ、目的を明確にした効率的な居住者支援の必要性が指摘された。また、「生活団らん室」の構成は、高齢者の住宅に近く、開放的な扉の方が利用されている実態を明らかにし、改善の方向を示唆した。
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