本研究の目的は、戦災復興期における地方都市の都市計画を対象として、①初期都市計画との連続性と断絶性を明らかにすること、②戦災復興都市計画で追加された新しい思想や技術の内容を明らかにすること、③各都市における計画のキーパーソンの役割を明らかにすることを研究目的とする。本年は本研究課題の最終年ということもあり、これまでの研究成果を踏まえ、まだ手が着いていない部分を中心に研究を行った。具体的には、①に関連して査読論文1編を発表、②に関連して、口頭発表論文2編を発表し、査読論文1編を提出予定である。以下、実績を箇条書きでまとめる。 1. 戦災復興都市計画による土地利用計画を研究する上で不可欠な戦前初期地域制に関連する査読論文を1編まとめた(研究成果欄参照のこと)。尚、本研究成果は上記①に関連する。 2. 戦災復興都市計画の技術水準を実証的に把握する為に、東海地方の対象都市(豊橋、岡崎、一宮、岐阜、大垣)を中心に戦災復興土地区画整理等に関連する資料調査を、各自治体の協力を得て詳細に行った。 3. 2.に関連し一宮の戦災復興土地区画整理の設計要因について明かにし、論文発表を行った。 4. 豊橋については、戦災復興土地区画整理の最終換地図面が発見できた為、技術水準に関連する詳細な分析を行い、査読論文として提出中である。 5. 米国国立公文書館にて、日本の諸都市(調査対象都市を中心に)の戦前・戦中期の都市航空写真を悉皆的に調査し、複写入手した。尚、研究目的の②については、当事者の大半が鬼籍に入られており、インタビュー等の一時的調査は困難であった。その為、各自治体等に所蔵されている関連文書等の入手に務めたが、尚、継続する必要がある。
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