研究課題/領域番号 |
22560606
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 協太 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (40434980)
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研究分担者 |
足立 明 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90212513)
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キーワード | 植民都市 / 開発 / 居住環境 / アクター・ネットワーク / コロンボ(スリランカ) |
研究概要 |
本年度は関連文献の収集とレビューに重点を置き、開発との関連を踏まえて、植民都市の研究を含む都市研究の研究史をまとめた。そこで得られた展望は以下の3点である。・それぞれの都市とその居住文化は、地域の視点と文脈に基づいて理解することが重要である。・都市は、異なる要素、主体によって構成される。具体的日常生活の動態はそれらの相互関係をつうじて描くことができる。・諸要素、諸主体はしばしば、特定の都市を超えた空間的拡がりの中で作用し、活動する。それらが媒介となって都市や村落は連動し、地域の文脈を形成する。 これらの知見を踏まえながらコロンボおよびジャフナの歴史的街区において居住実態に関する臨地調査と資料収集をおこなった。臨地調査から、人々の居住と集合の仕方、あるいは経済活動、都市を超えた範囲の人々の交流を理解する鍵として、寺院、モスク、教会という宗教施設の重要性が見出された。またコロンボにおける日常生活を把握するために、典型的住居に起居して参与観察をおこなった。資料収集をつうじて明らかとなったのは、居住環境の改善を目的とする開発事業は多くおこなわれてきたのに対して、それらの資料、記録は散在しており、蓄積されていないことである。 同時に、コロンボの主要な移住集団であるタミル人の出身地であるタミル・ナードゥを訪れ、居住文化に関する資料収集をおこなった。研究者間でミーティングは随時おこない、問題意識の共有を図るとともに調査手法の検討をおこなっている。 これらの知見を踏まえて来年度以降の研究トピックとして、宗教施設を中心とした居住空間の構成とそこにおける都市型住居の役割、および、居住環境改善事業の実例とその後の展開の追跡調査、を見出している。
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