研究概要 |
昨年度は、都市を巡る先行研究のレビューに力点の1つを置いた。一連の研究の成果と課題を明らかにすることをつうじて都市を眺める視座を定めることができた。 これをもとに、本年度はフィールド調査をつうじて、コロンボに居住する多様な集団と居住環境の分布、およびその歴史的形成を明らかにした。各集団の移動の指標として宗教施設の立地、建設年代、建設者に着目することで、都市内にとどまらずセイロン島内やコロマンデル海岸、遠くはマレー半島、シンガポール、ベトナムにおよぶ、具体的な人を介した都市間の結びつきを明らかにすることができた。このことは、スリランカにおける植民都市と都市型住居の形成を環インド洋地域において進行した共時的事象として位置づけ、非ヨーロッパ系居住者とそのネットワークの意義を考察する上で大きな成果であった。フィールド調査のもう1つめ成果として、コロンボにおける特徴的な居住環境と都市型住居をいくつかのタイプとして把握することができた。 研究成果は、 Kyota Yamada, "Dynamisms in the Hub City of Colombo and the Urban Networks around the Bay of Bengal from the Viewpoint of Daily Activities : The Locations of Religious Architecture from the 17th Century", in Naoko Fukami ed., Islam and Multiculturalism : Between Norms and Forms, Organization for Islamic Area studies (Waseda University), 2012, pp. 79-101 1Kyota YAMADA, Consideration on Unfolding of South Indian Merchant Activities and Formation of Port City Colombo : A Sketch of Organization and Transformation of Urban Space since the 18th Century,「日本南アジア学会第24回全国大会概要集」, Oct., 2011, Osaka, Japan, pp. 17-18 として発表している。
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