研究課題
本年度は、これまでに実施した子育て女性向けアンケート調査の結果、全国消費実態調査のミクロデータ再集計分析などをまとめることによって、女性のライフコースと住宅条件の関係に関する知見を整理した。その結果、既婚女性の就労形態に着目し、それを①正規雇用、②非正規雇用、③家事専業に分けることによって、ライフコースと住宅条件の関係を明確に把握できることが明らかになった。すなわち、①妻が正規雇用の世帯では、所得が群を抜いて高く、住居費負担が絶対的に大きいとはいえ、その対所得比は低く、住宅面積等の水準が高い。夫だけではなく、妻の信用力が高いことから、夫婦ともに住宅ローン調達力をもち、それが高水準の居住状況を実現する要因となっている。また、このグループでは、妻の親が近居し、子育てを支援している点が特徴になっている。保育所だけでなく、親の援助のあることが、妻の正規就労を支えている。②妻が非正規雇用の世帯では、持家取得後にその就労が始まっている場合が多くみられ、それは夫の経済力の低さをカバーするための稼働としての意味をもつ。取得した住宅の水準は高いとはいえず、その価格は絶対的には低くなっているが、対所得比は高い。言い換えれば、無理をして持家を購入している実態が認められる。③家事専業の妻を含む世帯は、夫の収入が高い点を特徴とし、その経済力によって持家取得が達成されている。所得と住宅水準は、高いとはいえ、夫婦ともに正規就労のグループよりは低い。このグループでは、妻による子育てという伝統的なパターンがみられる。本研究では、こうした調査結果をふまえたうえで、住宅研究の方法論を再考し、住宅条件を左右する重要な変数として、男性稼ぎ主の実態だけでなく、妻の経済力とライフコースをみる必要性を提起した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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建築雑誌
巻: vol.127 no.1638 ページ: 20-23
Young People and Housing
巻: 単行書 Routledge ページ: 159-176
International Encyclopedia of Housing and Home, Vol. 5.
巻: 単行書 Elsevier ページ: 328-335
世界
巻: No833 ページ: 221-233