民家の高齢者福祉施設等への改修事例を対象に、事業決定プロセス、改修計画の検討体制、改修計画策定・予算決定に至る経緯と設計・施工内容の関連分析をもとに、改修プロセスの全体像と民家再生の実現条件を明らかにし、耐震・断熱性能診断と補強改修が優先されない要因に関し検討を加えた。また改修設計内容と空間構成の関連に着目し、使われ方に視点を置き地域福祉施設としての空間機能評価を行い、改修計画・設計の妥当性の検証を行った。 農村地域の人口減少・高齢化が著しい山口県を対象に、介護保険制度導入前後の高齢者福祉施設の量的整備動向の比較により、小規模多機能型介護施設の整備状況の全体像と特徴を整理し、立地集積特性を明らかにした。また施設ネットワーク構築の先進事例を対象に、施設の整備プロセス・施設問のサービス機能・利用圏分担の予備調査を行い、ネットワークの成立条件として、(1)介護保険制度の導入に伴い、自治体により高齢者福祉の広域基幹施設が整備されると共に、運営組織として新たに社会福祉法人が設立され、町における在宅介護サービスの拠点が確立されていたこと(2)福祉法人の事業として、拠点施設の運営のみでなく小規模施設の整備が目標として設定され、同一法人による全施設の運営が実現したこと(3)法人運営の老人ホーム入居者から、空き家の従前住居の借用が出来たこと、(4)高齢者の施設・在宅介護を主事業とする福祉法人のため、高齢者のデイサービス業務の従事経験があるスタッフを有していたこと、を明らかにした。
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