研究課題/領域番号 |
22560613
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
中園 眞人 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60164208)
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研究分担者 |
山本 幸子 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (30509526)
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キーワード | デイサービス施設 / 施設ネットワーク / 民家再生 / 過疎地域 |
研究概要 |
1)山口県内の全高齢者福祉施設(約430施設)を対象に、既存資料収集とアンケート調査により施設データベースを構築する。施設の種類・開設時期別に量的整備動向を整理し、介護保険制度導入前後の比較分析を行い、小規模多機能型介護施設整備の時系列解析により、その全体像と特徴を整理した次に人口規模を指標に山口県内自治体を3区分し、都市・農村地域における立地集積動向を時期別・地域別に明らかにした。 2)デイサービス施設を対象に県内の施設立地マップを作成し、ボロノイ分析により施設利用圏の区画を設定し、国勢調査町丁目データをもとに高齢者人口(65歳以上、75歳以上)を地域面積に比例して利用圏区画に配分し、利用圏毎の高齢者人口を算定した。その上で施設充足率(施設定員/利用圏内高齢者人口)を設定された利用圏毎に算定し、この充足率を評価指標とし、小規模多機能型施設の整備による地域的な立地集積効果を明らかにすると共に、その経年変動を地域別に解析し、都市・農村地域でのサービス水準の変化を定量的に示した。 3)施設ネットワーク構築の先進事例として、山口県阿武町の「阿武福祉会」の取り組みを研究対象とした。阿武町では「介護保険法」制定を契機に、既存老人ホームの建て替えを中心とする福祉拠点施設整備計画が策定され、1998年には養護老人ホーム、ショートステイ用居室を備えたデイサービスセンター及び在宅介護支援センターが設立された。2000年には特別養護老人ホームが増設され、高齢者養護施設の整備水準は質・量ともに飛躍的に向上した。また2005年にはグループホームが新たに整備され、周辺地域をも含めた広域的な高齢者福祉拠点としての役割を担うに至っている。こうした基幹施設整備に加え、旧3町村の中心地区全てに小規模多機能型介護施設が整備され、過疎地域における基幹施設と小規模福祉施設のネットワーク構築を進める先進事例として位置づけられる。施設が立地する3地区の地域構造、広域期間施設及び小規模多施設の設立経緯、運営主体と運営方法、各施設の改修を含めた建築概要及び施設の利用圏・利用特性の調査及び各施設の使われ方調査をもとに、ネットワーク構築の成立条件とともに、利用圏とサービス機能の分担効果を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)山口県内の全高齢者福祉施設(約430施設)のデータベース構築と自治体および施設利用圏単位の立地特性の解析が完了した。2)施設ネットワーク構築の先進事例(山口県阿武町)を対象とした利用圏・利用特性調査及び各施設の使われ方調査をもとに、ネットワーク構築の成立条件と利用圏・サービス機能の分担効果の分析を予定通り遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度は先進事例(山口県阿武町)の分析結果をもとに、山口県内の各自治体の現状の施設立地特性を基に、過疎地域の自治体における施設ネットワーク構築に向けた整備課題の整理を行う計画である。
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