本研究を遂行するにあたり、まず中心市街地の賑わいに寄与する評価項目を国内外の既往研究から洗い出した結果、5カテゴリー30項目の数値指標と視覚指標を選定することができた。次にこれらの指標を、算出あるいは可視化するためにデータの収集をおこなった。データは、各種統計情報、電話帳データ、現地調査のデータから構成される。筆者らは、これらのデータを収集したのち、GISに入力し、GISの空間解析機能を利用して中心市街地の賑わい性能の特徴を数値とGISの可視化手法によって表現した。 本年度の研究対象地は、熊本市、大分市、長崎市の中心市街地であり、それぞれの現地調査(建物1階用途、買い回り店分布、大規模施設等の立地、歩行空間の整備状況、オープンスペースの位置、バス停・駅の位置と運行状況)は無事に完了した。しかし、申請額に対して交付額が大きく減額されたことから、GISのソフトウエア及びコンピュータの購入が不可能となり、調査で得られたデータの入力については、3都市全てを行うことは時間的に難しく、熊本市の入力を次年度に実施することにした。長崎市と大分市においては、データ入力を終了し、分析および比較考察を行い、両都市の賑わい性能の評価を明らかにした。その内容は、日本建築学会九州支部の研究発表会において報告している。 また、本研究は平成19年度より継続的に実施している研究であり、昨年度までの研究成果を本年度に取りまとめ、日本都市計画学会(査読審査あり)に投稿したところ、無事に採用され名古屋において研究成果を発表した。
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