一般的に中心市街地の評価は定性的評価になりがちである。本研究では、中心市街地における物理的環境の評価をわかりやすく表現するために、独自の視点に基づいた評価方法と指標を考案し、GIS(地理情報システム)を用いて中心市街地を分析し、また、その結果を相対的に比較することによって、各都市の特徴や課題を明らかにした。さらに、GISデータに加工を加え、インターネットのGoogleMap上に表示可能な形式とすることで、一般の市民にも理解が容易な情報を提供するためのWEBサイトの構築をおこなった。 平成24年度は前年に引き続き、九州主要都市の現地調査を実施するとともに、調査で得られたデータをもとに都市の賑わいを表現する指標の値を算出するとともに、GISを活用して地図上に入力した。また、調査結果のGISデータを都市毎に比較することで、各都市の特徴と課題を明らかにした。 各都市の結果は次のとおりである。熊本市の中心市街地における商業施設の集積は高いが、街路が広くヒューマンスケールな歩行環境とは言えず、駐車場も多いことから店舗の連続性を阻害している。大分市の中心市街地には大規模の公園や駐車場が存在し、回遊性を低下させている。長崎の中心市街地では、世帯数も多く、商業・公共施設の集積が見られるが、公園やオープンスペースが不足していることを明らかにした。本研究成果の一部を「九州5都市の中心市街地における回遊性能の相対評価」という論文に取りまとめて、日本都市計画学会に投稿し採択された。 分析に活用したGISデータをGoogleMap上に表示可能なデータ形式(kml形式)に変換し、WEBにて公開するためのWEBサイトを構築した。
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