本研究の目的は、産業遺産や歴史的まちなみの保存・修景のために、建築物及び街並空間の高精細な三次元モデル構築を目指し、レーザースキャニングによる建築CADモデリング手法の高度化を図ることである。 24年度は、研究最終年として、これまでの明らかにした点群データの属性により建築要素に分離する手法を高度化し、点群データを自動処理するシステムを開発した。さらに、その点群データからCADモデリングし、部材ライブラリをもつ建築情報モデル(BIM)を構築する一連のプロセスを提示した。 具体的には、点群データの属性である「色情報」「反射強度」「三次元座標」のクラスター分析により、建築材料(木材、煉瓦、ガラス等)及び建築部位(柱、壁、窓等)に点群データを分離した。特に、奥行の値によるクラスター分析によって、ファサードにおける建築要素の分離を効率よく実施するプロセスを明らかにした。さらに、部位別に分離された点群データをCAD上にインポートし、点群データにソリッドモデルをフィッティングすることで建築オブジェクトを生成し、建築情報モデル(Building Information Model)のモデリング手法を提案し、点群データからベクトルデータへの変換を行う一連のモデリングプロセスを構築した。このモデリングプロセスを持ちいて、煉瓦造の旧万田坑施設と木造のJR白石駅の2施設についてケーススタディを行い、モデリングプロセスの差異を明らかにした。 本研究のとりまとめとして、日本建築学会、3次元計測フォーラムに参加し、研究成果を報告した。
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