研究概要 |
本研究は、スペイン人によるフィリピンの都市の形成、都市計画のメソッドを明らかにした。24年度はフィリピンにて、スペイン植民地時代の都市の変容、フィリピンにおけるスペイン植民地時代の都市の遺産保全のため調査を実施した。1)24年4月26日~24年5月9日 (マニラ,Intramuros)2)24年7月29日~24年8月12日 (ヌエヴァ・ヴィスカヤ州、マニラ、セブ)3)24年8月19日~24年9月1日(マニラ、セブ、ボホール、バギオ、ビガン)。この調査により、地域と社会的特性、都市空間の特性、建築の特徴を分析し、書籍、古地図とGISデータを収集した。 マニラ(Intramurosとビノンド地域)、ビガン、カビテ、セブ市の形成、進化と変容に関する研究を確定した。セブの歴史的都市について,残されている地図をもとに都市形成過程を分析し,さらに現地調査によって空間構成の現状を比較することで,その特性を明らかにした。特に,スペイン植民地時代のグリッド都市計画の特性を明らかにした点が研究の中心である。建造物についての研究は、ビノンド歴史地区のアクセソリア(伝統的なショップハウス)用途の変遷、ヴィガン歴史地区のバハイ・ナ・バト(伝統的なフィリピンの住宅)用途の変遷、セブ島、ボホール、イロコスにおけるスペイン植民地時代の教会建築様式に関する研究である。 遺産保全について、スペイン植民地時代の文化遺産建造物の多くは、919の教会、432の公共施設(城壁、軍隊施設)、また多くの住宅が残されている。現状の問題点として以下がある。1)有形文化遺産建造物は総じてよくは知られていない(専門家間において)、2)各文化遺産建造物の詳細なドキュメンテーションがない、3)保護のための枠組みはあるものの、地方行政との連携が保護の鍵となるが、執行は地方の政治状況に依存している、4)全体的に防災対策があまり見られない。
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